平河天満宮は、1478(文明10)年に太田道灌によって創建され、学問の神として知られる菅原道真を祀る神社です。境内入り口に建つ銅鳥居は、元禄から明治にかけて12代続いた神田鍛冶町の鋳物師・西村和泉家が手がけたもので、千代田区内に現存する江戸期の建造物として極めて貴重なものです。鳥居の左右の柱の台座に施された、獅子の彫刻にも注目してみてください。


1945(昭和20)年の東京大空襲では、銅鳥居や狛犬などが焼損し、戦争の爪痕が色濃く残りました。また、近隣に駐屯していた近衛歩兵第一連隊は、氏子と深い結びつきを持ち、出兵の際には社紋である梅鉢を掲げた「梅鉢隊」として、天満宮を守護神に奉じたと記録されています。

戦後には戦没者慰霊と平和祈念のため、「慰霊平和碑」が建立され、靖国神社の宮司による碑文も刻まれています。この天満宮は、戦争による破壊と悲劇を経験しながらも、人々の平和への祈りを受け継ぐ場として今日に至っています。戦争の時代を反省とともに振り返ることが求められる場所であるといえます。